クルド語にはペルシア語と同じようにエザーフェが存在する。エザーフェというのは、雑に言えば名詞と形容詞、あるいは名詞と名詞などを繋ぐ働きをする接辞で、「日本の選挙」と言う場合の「の」に近い。雑に言えば。
一方、クルド語にはペルシア語と違い、名詞の曲用が存在する。ロシア語なんかにある、文中の名詞の役割によって名詞の形が変わるアレである。ただ、クルド語の曲用はロシア語などに比べるとずっとシンプルで、主格と斜格の二つの形があるだけだ。また、名詞自体の形が変わるわけではなく、主格に接辞が付くことで斜格が作られる。
クルド語にはペルシア語とは違い、名詞の文法性が存在する。男性と女性の二つで中性はない。クルド語の中でも主にイランに話者が多いソーラーニー方言では文法性が消滅しているらしいけれど。
エザーフェについて言えば、ペルシア語とは異なり、それが付く名詞の性・数によって形が変わる。同様に、斜格についても名詞の性・数で形が変わってくる。これらの関係がちょっと頭の中でごちゃごちゃしてきたので、一旦表にまとめてみようというのが、このエントリーの主旨である。
ひとまず表で表わすと、以下のようになる。
エザーフェ | 斜格 | ||
---|---|---|---|
定 | 男 | -ê | -î |
女 | -a | -ê | |
複 | -ên | -an | |
不定 | 男 | -ek-î | -ek-î |
女 | -ek-e | -ek-ê | |
複 | -in-e | -an |
結構ややこしい。男性名詞に付くエザーフェと、女性名詞の斜格形接辞が同形になる。エザーフェは名詞の定性によって形が変わるが、斜格接辞は変わらない。そのため、不定の男性名詞ではエザーフェと斜格が同形になっている。また、斜格形では複数形の定・不定が同形となっている。などの特徴がある。
ちなみに接尾辞-ekは単数名詞に、-inは複数名詞に付く不定接尾辞である。
結局はこの表をまるまる頭に入れるしかないのだけれど、一旦整理しておいた。