Otoyadiary

語学の話題がうっすら多めの日記

TOCFL Level 4にぎりぎり合格していた

先日の日記でTOCFL Band Bを受験してきた話を書いたのだけれど、公式ウェブサイトで試験結果が閲覧できるようになっていた。結果は聴解はB1、読解はB2で総合成績は高階級(Level 4)。聴解より読解の点数が高いという日本人あるあるの結果となった。

公式サイトによると、80点満点中、聴解は46点以上でB1、61点以上でB2。読解は48点以上でB1、64点以上でB2とのこと。総合成績は94点(聴解42点、読解44点)以上でLevel 3、125点(聴解53点、読解56点)以上でLevel 4認定となる。括弧内の聴解、読解それぞれの点数は最低必要得点で、例えばLevel 4の場合、合計得点が125点を超えていても、読解が53点に満たないと認定されない。

TOCFL成績
TOCFL成績

私の結果としては聴解58点、読解74点の合計132点で高階級(Level 4)判定となった。聴解、あと2, 3問合っていればB2到達していたのが、正直かなり悔しい。


もう少し聴解を中心に鍛えて再度Band Bを受験するという手もあるけれど、どちらかと言うと台語と客家語に時間を割きたいので、TOCFL受験についてはひとまずこれで満足しておく。台湾に行っている間にもう少し勉強して、帰国するまでにBand Cを受けてみる、くらいの感じで勉強しようと思う。

客家語版『白い牙』が出版されたらしい

アメリカの小説家、ジャック・ロンドンの『白い牙』の客家語版が出版されたとの発表があった。

私の知っている限りでは外国語文学の客家語への翻訳はサン・テグジュペリの『星の王子さま*1ヘミングウェイの『老人と海*2に続いて3作目だと思う。もし他の作品を知っている方がいらっしゃったら教えてほしい。

今回の白牙については官話からの重訳ではなく、原著から客家語に直接翻訳されたようだ。

現在は博客來*3讀墨*4という二つの電子書籍サービスで電子書籍版が無料でダウンロードできる。無料なので少しでも興味があれば試しにダウンロードして眺めてみてほしい。ちなみに私は両方のサービスでダウンロードした。

今後紙の本も台湾全土の図書館や一部書店に配本されるようだ。今後、できれば紙の本も手に入れたい。


手に入れた電子書籍を眺めた限りでは、基本的に教育部臺灣客語辭典*5の表記法に則った漢字を使って書かれている。前書きによると、一部でまだ標準的な表記法が定まっていない表現には、仮の漢字を用いて表現している部分もあるようだ。

客家話小王子は学習用の書籍だったこともあり、左ページに漢字、右ページにローマ字という書き方がされていたが、本書は純粋に読物として意図されているようで、発音表記や客家語独特の表現への語釈は付されていなかった。

客家語である程度の長さのあるしっかりした文学が読めるというのは非常に嬉しい。


客家委員会では「世界名著の翻訳を通して客家語を刷新する(從世界名著翻譯談客語新創)」プロジェクトを進めているようで、本年中には今回出版された白牙に続けてサリンジャーの『ライ麦畑でつかまえて』(麥田捕手)の出版を予定しているようだ。

また、来年以降はトゥウェインの『トム・ソーヤーの冒険』、ヘッセの『シッダールタ』、今回出版されたロンドンの『野性の呼び声』の翻訳、出版も予定されているようで、非常に楽しみである。

*1:安東尼·聖修伯里著,徐兆泉訳(2000)《客家話小王子南天書局

*2:歐內斯特·海明威著,賴文英訳(2020)《老人同海客家委員會(ただし本書については未見)

*3:博客來-白牙(客語版) (電子書)

*4:白牙(客語版) - 傑克.倫敦 | Readmoo 讀墨電子書

*5:教育部臺灣客語辭典

トルコの書店からクルド語の本を買った

基本的に私が語学をやる目的というのは、大きくふたつある。ひとつはその言語の構造(統語的なものだったり、形態的なものだったり、音韻的なものだったり)を理解したいという、言語そのものに対する興味。もうひとつはその言語の話者によって書かれた文章をその言語で読みたい、という言語の道具としての側面に対する興味である。

読みたいのはその言語の話者によって書かれた文章なので、内容はなんでもよい。ただ、自然科学系のものより、歴史や小説、詩が優先されるのは、私の好みの問題だ。

言語を使ってその言語の話者とコミュニケーションをとりたいという欲望は、ないことはないのだけれど、上記のふたつと比べるとかなり優先度は低い。客家語のような口語優勢な言語の場合、話す・聞くの要求が高まるとか、そういう話はあるのだけれど。


本題に入ると、インターネットを通してトルコの書店からクルド語の本を買った。利用したのはPirtukakurdi.comというウェブサイト。クルド語やクルド関係のトルコ語の書籍を中心に扱っている。インスタグラムにもアカウントを持っており、どうやらアーメド(トルコ語名ディヤルバクル)に実店舗も持っている書店らしい。

国外のネットサービスで買い物するのは、ちゃんと品物が届くのかとか、詐欺サイトではないかとか、いろいろ心配な点はあるものの、上記のインスタグラムアカウントが今でもきちんと更新されていることや、連絡先もサイト上に明記してあったことなどから、大丈夫だろうと判断して注文した。

昔から中国、香港、台湾、ロシア、アメリカなどなど、いろいろな国外サービスから本を取り寄せているので、その辺の感覚が人より麻痺している可能性はある。

万が一トラブルがあったとしても、最悪支払った料金が返ってこないだけだし、もしきちんと品物が届けば、今後も利用できる書店をひとつ確保できる、という考えもあった。

クルド語の書籍3冊
クルド語の書籍3冊

そして無事に届いたのが上の3冊である。注文してから6日ほどで発送連絡が来て、さらに6日ほどで手許に届いた。この日数で分かるように、Fedexの空路便である。別にもっと時間のかかる発送方法で良かったのだが、選択肢がなかったのである。本3冊の値段よりも送料のほうが高かった。

小説2冊と詩集1冊。私の好みで選んだというより、勉強に使っているクルド語のテキストに名前が出てきている著者の作品を選んで買ってみた。

現在の私の語学力ではすらすら読むどころか、1ページを読み進めることもかなり大変なのだけれど、ぱらぱらと眺めているだけでも楽しいし、これをしっかり読めるようになるんだ、という勉強のモチベーションにもなる。

上野で黄土水と田中一村を見た

上野まで行って展覧会を二会場はしごした。はじめに訪れたのは東京藝術大学大学美術館で開催されている「黄土水とその時代」*1展。

藝大美術館はさほど会場面積は広くない美術館なので、展示も小規模ではあった。前室には当時の東京美術学校で教えていた藤島武二を始めとする教師陣の絵画、黄土水の師でもある高村光雲の彫刻など、黄土水に影響を与えたであろう作品群と、当時東京美術学校に留学していた台湾人留学生の自画像が展示してあり、見応えがある。

また、近年『陳澄波を探して 消された台湾画家の謎*2の翻訳が刊行されたことで日本でも一段と知名度を増した陳澄波の作品も、館蔵品が2点展示されている。ここは黄土水とともに、もう何点か台湾から持ってきても良いような気もしたが、2点だけでも見られたのは良かった。

まあ、それを言えば自画像が展示されている李石樵や何徳来などの作家の作品についても台湾には多く残っているので、それも合わせて見たかったと言ったら贅沢だろうか。展示スペースにも限りはあるし、展示テーマの焦点がぼやけるかもしれないけれど。

後室は完全に黄土水の展示スペースになっており、彫刻10点と資料が展示されている。《甘露水》をはじめ、彼の技術力の高さが分かる作品が多く、私は正直彫刻には疎いのだけれど、それでも非常に興味深かった。


その後、東京都美術館の「田中一村奄美の光 魂の絵画」*3展へ。平日にも拘わらず、ご高齢の方を中心にかなり盛況だった。

田中一村の作品を見るのは今回が初めてで、非常に楽しみにしていた……のだけれど……うーん…… 必ずしも作品が悪いわけではなく、技量がないとも思わないのだけれど、何というか……

奄美移住後の作品も、題材の目新しさや色彩表現に見るべきものはありつつも、40代の作品よりは良いのだけれど、20代から30代の特に植物を題材にした作品ほどには見るべきところはないのでは、というのが正直な感想。

また、キャプションの文章が稚拙であったり、そもそも解説が少ない。また、あまりに似たような小品をただ作品数が多ければよいかのようにだらだらと並べているなど、展示手法にむしろ課題がある展覧会だと感じた。

それでも一村のネームバリューと都美の立地、宣伝によってお客さんはかなり入るんだろうけれど、どうなんだろうなあ……


気を取り直してランチは李厨の魚香肉絲。安いし美味しいので上野に行くといつもここで食べている気がする。何故か付け合わせを食べたあとの写真しかない。

李厨 魚香肉絲
李厨 魚香肉絲

TOCFL Band Bを受験してきた

先日実施された華語文能力測験 (TOCFL)*1のBand Bの試験を受験してきた。TOCFLについては詳しくは公式サイトを見てもらうのがいいと思うけれど、簡単に書くと中華民国政府、正確には國家華語測驗推動工作委員會という団体が実施している中国語の検定試験だ。

台湾で標準とされている中国語の試験であるため、一部の語の発音や語彙が中国の普通話とは異なる。ただ、そこまで大きな違いはないため、少なくともBand BレベルではTOCFLに特化した学習は不要だと思う。急に腳踏車*2って言われてもびっくりしない心構えをしておくことくらい(今回の試験では腳踏車出てこなかったと思う)。

ちなみに問題文は台湾で受験する時は繁体字しか選べないらしいが、日本で受験するときは簡体字も選べる。


台湾の試験ということからも分かるとおり、台湾の大学や大学院では外国人が留学する際、一定程度のTOCFLの成績を求められることが多い。本科に留学するときはB1レベルがひとつの基準になることが多いようだ。

私は特に本科に留学する気はないので、不要と言えば不要なのだけれど。台湾滞在中に機会があれば大学付属の中国語センターには通いたいと思っているので、何かの目安になればと思い受験した。


試験時間は2時間で、聴解が50問、読解が50問の計100問。それぞれに合格ラインが定められており、それぞれの到達レベルと総合的な到達レベルで結果が示される。私が受験したBand Bは3種類あるレベルの中間にあたる。聴解、読解の双方で6割以上正答すればB1(レベル3)、8割以上の正答でB2(レベル4)が認定される。

手応えで言うと、読解はB1は確実に取れていると思うし、B2も狙えると思う。聴解については、B1は、たぶん大丈夫じゃないかな……という感じ。B2は厳しいと思う。ただ、聴解については4択のうち2択までは絞れてどっちだろうな、みたいな問題が多かったので、そのへんの得点しだいかな、という気がする。

全ての問題が同一配点ではないようなので、結局のところ蓋を開けてみるまでわからないのだけれど。


語学試験、昨年TOPIKの初級を受けて以来だったのだけれど、なかなか楽しかった。

結果はネット上では1か月後くらいから確認できるようだ。

バインミー
バインミー

試験前に試験会場近くのバインミーとフォー専門のベトナム料理店で食べたバインミー。非常に美味しかった。

*1:台湾中国語検定 華語検定(TOCFL)公式サイト【台湾政府認定資格】

*2:台湾の官話で自転車を指す。中国では普通、自行車が使われる。

4冊目の客家語教科書を読みおえた

読み終える度に経過報告をしている気がするけれど、4冊目の客家語の教科書*1を読み終えた。この客家語分級教材シリーズ、それぞれの巻の対象学年がよく分かっていないのだけれど、1冊1年と仮定すると、この巻は小学校4年生向けくらいの内容なのだろうか。

《部編版客家語分級教材第四冊學生用書(四縣腔)》
部編版客家語分級教材第四冊學生用書(四縣腔)

10課構成なのはこれまでの教科書同様だが、一つひとつの課の文章が長くなってきており、知らなかった単語や表現もだいぶ増えてきた。今までの教科書は1日1課ずつ進められたけれど、この教科書は平均すると1課に2日くらいかかっていると思う。

本シリーズの良いところは、客家語の学習と同時に客家の文化についても知ることができる点だ。この巻にも「過年」「尞天穿」「掛紙」など、台湾の客家の年中行事についての文章が納められている。

ここに出てくる単語と表現を覚えることで、着実に客家語の基礎力の向上に繋がっていると感じるので、これからも読み進めていく。

*1:國家教育研究院(2012《部編版客家語分級教材第四冊學生用書(四縣腔)》教育部

NE+台湾語の全単語、例文の導入が完了した。

ニューエクスプレスプラス 台湾語*1自体の勉強は6月17日に一通り一周終わっていたのだけれど、この本に登場した全ての例文と単語のAnkiにおける新規カードの学習がついに完了した。

Anki
Anki

正直、単語数としてはこの本のものだけではまだまだ全然足らないなあ、という感じではある。ただ、初級の基礎固めという意味では一区切りといったところ。

当面は客家語を初めとする他の言語の学習が優先なので、台語についてはしばらくはAnkiを使った復習が中心になると思うのだけれど、時間を作って次の勉強も始めたいところ。

*1:村上嘉英(2019)『ニューエクスプレスプラス 台湾語白水社